2012年12月 5日
◆第43回全国学校保健・学校医大会報告
第43回全国学校保健・学校医大会が熊本市で下記の如く行われました。
日時 平成24年11月10日(土)
会場 ホテル日航熊本
午前の部 第5分科会 『 眼科 』
1. 小学生の視力、屈折、調節機能について小学生の視力、屈折、調節機能について
2. 板書に困難を持つ児童の視機能について
3. 平成23年度名古屋市屈折特別検診のまとめ
― 学校生活において、見え方で援助を必要とする児童の調査
および今後の方策を考える ―
4. 学校におけるヘアバンド禁止は止めるべきである
― 正常に見える眼瞼下垂症も不眠、頭痛、肩こり、冷え性、鬱、
登校拒否、喘息、便秘などの原因になる ―
5. 携帯端末で子供たちの眼球に何が起きているか
6. 外眼部視診で分かること分からないこと
7. 中・高校生の結膜嚢内検出菌の検討
8. 心因性視覚障害に関するアンケート調査について
9. 見る力に発達障害のある児童の支援について
10. 眼科医が発見できる小児心身症
園児、児童の視力について近方視力の重要性と、検診への取り入れの提案。
視力、調節障害のみならず、読字困難、目と手や体の協応不良、追従性・衝動性眼球運動、発達障害などによる見る力に発達障害のある児童に対する眼科医が果たすべき役割や、環境調整、公的支援の体制づくりへの取り組み。
眼瞼下垂症が眼科以外の様々な障害の原因になる可能性のあること。
外眼部視診の意義を認識し、健康教育での重要性を啓蒙していくこと。
心因性視力障害の診断に関する問題や、眼科医が、視力検査や他覚的屈折検査により小児心身症発見の一助になるよう役割を果たすことなどが発表され、活発な質疑応答がなされました。
午後の部 日本医師会長表彰の授賞式、シンポジウム、特別講演
シンポジウムテーマ『 現代の子どもたちの「身体の二極化」について考える 』
~ 運動器検診と小児生活習慣病検診への取り組み ~
基調講演
『 子供の体と運動 』
シンポジウム
1. 『 熊本県における運動器検診への取り組みと課題 』
― 整形外科専門医の立場から ―
2. 『 子どもたちの生活習慣病予防~熊本市生活習慣病予防検診の現状 』
― 小児生活習慣病専門医の立場から ―
3. 『 中学生のこころとからだ 』
― スポーツ指導者の立場から ―
子どもの運動習慣の二極化や、生活習慣の乱れが問題になっている点や成長期にある骨は靭帯や腱にくらべ強度がおとり、外力に弱い軟骨部分が多いことが特徴で、筋・腱は過緊張の状態にある。特にoveruseでおこる障害は、初期の適切な対応が重要である。
運動器検診の体制を確立させ、要精検者の整形外科医による適切な指導、治療体制を築くことが重要であること。
小児生活習慣病予防検診などのスクリーニングが小児肥満とその合併症の予防に有用であること。
運動部活動において最近の子どもたちの意識や価値観の変化、生徒数の減少や顧問指導者の高齢化など、活動を支える環境にも変化がでてきていること。
指導者の子どもの体に対する認識の不足、過熱した勝利至上主義や保護者の過度な期待などがスポーツ障害の発生を助長する要因になっていること。
以上の発表、提案について活発な質疑応答がなされました。
特別講演 『 悩む力 ― 意味への意志について 』
東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授
姜 尚中 先生